主な取り組み
プロジェクト研究
1 流域・環境政策と
ガバナンス
A 日韓比較研究
  B 河川水の分散機構
  C 農業環境政策
2 生産生活の変容
  D 水辺エコトーン
  E 日韓比較研究
3 生活環境と
リスク・ 危機管理
  F 安全・安心の営農技術
  G 減災ネットワーク
4 環境教育:
実践と可能性
  H 子どもの環境認識
 
 
 
 

プロジェクトの 
名 称

びわ湖に流入する河川水の分散機構

プロジェクトの

概     要

 びわ湖に流入する主要な河川を対象として,水文・水質・生態系の観測を継続実施するとともに,びわ湖の水質や物質分布を連続的に測定することによって,河川水の水質・流量の季節変化,河口域及び湖内における河川水の分散過程,さらには河川によってもたらされる溶存態・懸濁態物質の挙動について定量的な把握を行う。観測結果の解析と,観測値に基づいた数値モデルによって,湖の水質形成と物質循環について,より高い精度での評価を行う。

プロジェクトの

特色及び意義

 本プロジェクト研究の特色は,流入河川水を連続的にモニターすると同時に,河口域と湖内において河川水と湖水の混合や,懸濁物質と溶存物質の挙動を三次元的かつ連続的に追跡することである。これによって,従来は事例的に扱われてきた河川水の分散過程を時空間的に連続したものとして捉えることができ,湖水の水平・鉛直分散係数や河川水の連行速度の季節変化とその鉛直分布を正確に評価することが可能となる。また,河川水によってもたらされる外来性懸濁態物質の輸送過程や,植物プランクトンなどの自生性懸濁態物質の動態,および水温躍層や湖底直上における高濁度層の形成機構が解明される。さらに,地球の温暖化に関連して,近年の湖水温の上昇に伴うとされている湖底層での溶存酸素濃度の低下について,河川起源の酸素の流入量変化(特に融雪期)および冬季の鉛直混合(オーバーターン)という両面から評価する。これによって,単に積雪量の減少に伴う低酸素化の進行という従来の盲目的な湖沼水質予測を刷新することができる。
 したがって,本研究は河川水の分散という知見にとどまらず,びわ湖をはじめとする我が国の重要な水資源である淡水湖における物質循環の評価,および水質の将来予測の精度向上に貢献できる点に大きな意義を見いだすことができる。

プロジェクトの


実施計画・方法

 本プロジェクト研究では,河川および,びわ湖における物質循環を3年間にわたり追跡する。以下,各年度における研究計画を記す。

【2006年度】
・びわ湖に流入する河川のうち最大の流域面積を有する野洲川の河口域を対象として,河川水の分散過程を明らかにする。
・水質プロファイラを用いて,水温・電導度・濁度・クロロフィルa,溶存酸素,pH等の三次元分布を測定する。また,各層の採水を行い,懸濁態物質と溶存態物質の化学分析を行う。
・河口域から沖帯への河川起源物質の輸送や沈降,および自生性懸濁態態物質との相互作用などの実態を解明するために,野洲川河口から沖合に向けた測線上に,現有の自記流向流速水質計,係留式ADCP,自記濁度計,セディメントトラップなどの係留系を展開し,物質の動きを時間的に連続して追跡する。
・以上の観測によって得られる河川水の流量・水質の時系列,河口域および沖帯における水質・湖流の連続記録,湖における水質の三次元分布,本学のテレメータブイによる気象・水質・湖流データ,および国土交通省による水文水質データベース,気象庁による河川流域における気象データなどを用いて河川水の分散・輸送過程の実態を把握する。

【2007年度】
・基本的には平成18年度と同様な観測や解析を継続する。河川観測においては,年間を通した河川水文・水質データを取得し,データベースとして整備する。河口域における河川水の分散過程についても,年間を通じた観測により,特徴的な季節変化を把握する。河口から沖帯への物質移動に関しては,四季の特徴を把握するために,各季節において5日間程度の反覆観測を実施する。また,集中豪雨や台風などによる河川増水時には,河川起源物質の水平・鉛直移動を追跡するための観測を実施する。さらに,赤潮プランクトンのブルーム発生時にも同様の観測を行う。
・係留系による連続観測データ,調査艇による移動観測データ,溶存態・懸濁態物質の化学分析結果,およびWEB上のデータをとりまとめ,データベース化する。河川観測,河口域観測,沖帯での観測を個々場における現象として捉えるのみでなく,それらの時空間的な連繋をモデルによって解析する。特に,河川水の流入深度の季節変化に伴う湖内での物質循環に着目し,水平的な連行現象や懸濁態物質の沈降速度に焦点を当てて,湖底低酸素層・高濁度層の消長について定量的な考察を加える。
・観測によって得られたデータ(データベース)を詳細に吟味し,総合的に検討するとともに,従来の研究によって構築された数値モデルを用いた解析を行うことにより,河川起源物質の挙動,自生性懸濁態物質(lake snow)との相互作用,湖底高濁度層の消長などについて考察し,懸濁態物質収支を明らかにする。また,溶存態物質の循環については,河川水と湖水の化学成分濃度(主には電気伝導度)をトレーサとして考察する。これらの解析結果を発展させることにより,水平・鉛直分散係数,連行速度などについての力学的な考察を行うと同時に,水収支や溶存酸素濃度の消長に関する定量的評価を刷新する。

【2008年度】
・河川,河口域,湖内での観測を継続し,データベースの更新・充実を図る。四季の特徴をより具体化するために,前年度までの観測で捉えきれなかった季節変化や現象にターゲットを絞る。
・整備されたデータベースと数値モデルを用いた解析を行うことにより,河川起源物質の循環機構を定量的に評価する。特に,水温躍層や湖底における高濁度層の形成・維持・消滅の機構と,底層における溶存酸素濃度の変動に着目した解析を行う。溶存酸素濃度の消長については,河川起源物質による寄与と,湖水の鉛直循環による影響を併せて解析する。

プロジェクトの

担当者

(代表者に*印)

氏 名

所属学部・学科等及び職名

プロジェクト等の役割分担

*遠藤 修一

 川嶋 宗継

 奥村 康昭

 大久保卓也

教育学部・教授

教育学部・教授

大阪電気通信大学・助教授

滋賀県琵琶湖・環境科学研究センター・専門研究員

物理過程の解明・研究総括

生物・化学過程の解明

溶存態物質の動態

懸濁態物質の動態

結果発表

日本陸水学会において口頭発表を行い,その後論文で公表する。     


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