公開研究会
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2008年

第33回公開研究会

日時:2008年10月6日(月)16:30~18:30

報告1 
環境評価の最先端:湖沼生態系評価を事例として

報告者
三谷 羊平 氏(早稲田大学・コロラド大学ボルダー校・日本学術振興会特別研究員PD)

討論者
竹内 憲司 氏 (神戸大学大学院経済学研究科 准教授)

要旨
  環境経済学の分野では生態系サービスのような市場で取引されない非市場財の経済的価値を評価する手法が発展してきた。元々は、費用便益分析や外部性の内部化に用いるために評価額を推定することが主な目的とされてきたが、近年、研究レベルでは個人の選択行動に注目してその背後にある心理的な要因を探るなど、環境保全に関する人間行動や生態系の価値構造をより深く観察することが可能になりつつある。
  そこで、本報告では、環境評価における最新の研究成果を紹介することで、人々が環境保全行動をとる第一義的な動機となる生態系の価値の特徴を整理したい。特に、湖沼生態系を事例として、生態学的な評価に基づいた経済的評価がいかにして行われるか、及び、最新の分析手法を用いることで何をどこまで明らかにすることができるのかを簡潔に紹介することを目的とする。
  第一に人々にとっての環境保全の便益を貨幣尺度で客観的に評価し得る経済学的な手法を紹介する。
  第二に、釧路湿原達古武沼における自然再生を事例として、経済的評価の全体的な手順を具体的に紹介することで、どのように自然科学的な知見に基づいた評価が行われるのかを示す。
  第三に、最新の分析手法を用いることで何をどこまで明らかにすることができるのかを紹介する。特に、どこまで再生するかという再生水準への示唆、環境保全をめぐる好みの多様性の把握と合意形成への示唆、生態系に関する情報提供が価値形成に与える影響などについて紹介する。最後に、環境評価の課題と可能性を論じることで、今後の方向性を示す。

報告2
How decision-making rule influences citizens' preference for ecological
restoration: Evidence from experimental survey in Kushiro, Japan

報告者
伊藤 伸幸 氏(神戸大学大学院経済学研究科 博士後期課程)

討論者
田中 勝也(滋賀大学環境総合研究センター 准教授)

報告要旨
We conducted an experiment on collective decision-making to analyze how decision-making rules influence individual preferences in the collective decision-making in nature restoration projects. Our study compares two decision-making rules―the consensus rule and the majority rule―wherein the participants decide the plan of nature restoration in the Kushiro Wetland, Japan.
Our main finding is that the degree of reflection of the preference from the individuals to the collective decision-making is higher under the consensus rule than in the majority rule. Furthermore, higher dissatisfaction of the participants with the result of collective decision-making is associated with a larger disparity in the marginal willingness to pay (MWTP) between the collective and individual decision.


第32回公開研究会

日時:2008年9月27日(土)14:00~17:30

報告1
伝承カモ猟の文化資源化とワイズ・ユース

報告者
安室 知 氏(国立歴史民俗博物館民俗研究系 准教授)

報告2
近代期の東アジアにおける石干見漁―台湾・日本の漁業権資料をふまえて―

報告者
田和 正孝 氏(関西学院大学文学部 教授)


第31回公開研究会

日時:2008年9月22日(月)13:00~15:00

報告
福井県に伝わる「へしこ」の嗜好性と機能性
  滋賀県に古くから伝わるふなずしなどのなれずしは、文化的にも栄養学的にも優れた魚の保存食品ですが、若い世代には苦手な人が多く、今後の伝承が危ぶまれています。
  なれずしの伝承のためには、その栄養価や機能性成分の探索、嗜好性について研究し、消費拡大につなげることが重要だと考えられます。
  本研究会では、福井県の伝統食品であるへしこやさばなれずしにおいて同様の目的で研究を進めておられる伊藤光史氏をお招きし、これまでの研究をご紹介していただくとともに、様々な伝統的水産加工食品の伝承のために我々が今後取り組んでいく方向について様々な観点から話し合いたいと考えています。

報告者 
伊藤 光史 氏(福井県立大学生物資源学部海洋生物資源学科 助教)


第30回公開研究会

日時:2008年7月2日(水)16:30~18:30

報告
日本・中国における飲料水水質改善政策の便益評価~回避支出法と選択実験の適用~

報告者 
吉田 謙太郎 氏 (筑波大学大学院システム情報工学研究科 准教授)

要旨:安全な飲料水の確保は世界中において重要な課題である。
本研究の評価対象となる霞ヶ浦、中国の太湖・銭塘江も水質悪化が深刻であり、太湖を水源とする無錫市では2007年にアオコ被害により水道水の供給がストップし、市民生活に甚大な影響を与えた。しかしながら、水源となる湖沼や河川の水質向上も重要な政策対象ではあるが、高度浄水処理施設の導入による飲料水の水質向上という直接的な手段は即効性が高い。
飲料水の水質確保は市民にとって日常の切実な問題であり、水質悪化にともなう健康リスク等を回避するため、浄水器や煮沸消毒、ボトルド・ウォーターの購入等多様な回避行動が取られている。実際の支出を伴う回避行動が観察される場合には、顕示選好法の1つである回避支出法(averting expenditures method)を利用して水質改善効果の便益を評価できる。また、表明選好法の中でも選択実験(choice experiment)を適用して高度浄水処理の評価を行うことも可能である。
本研究では、日本のつくば市と中国の杭州市及び蘇州市において一般市民を対象としたアンケート調査を実施し、飲料水に関する回避行動データ及び選択実験データを収集した。限界WTP等を比較することにより、両手法のパフォーマンスについて比較を行った。


第29回公開研究会

日時:2008年2月15日(金)18:00 ~

報告:
減災における植物の役割

報告者:
木島 温夫 氏(滋賀大学教育学部教授)


第28回公開研究会

日時:2008年2月11日(月)16:00~18:00

報告
河川環境の流域単位での管理対策評価

報告者 
大床 太郎 氏 (広島大学大学院国際協力研究科 21世紀COEプログラム研究員)

討論者 
寺脇 拓 氏(立命館大学経済学部准教授)

要旨:
長大な河川の環境管理は、多様な選好を持った流域住民が存在する可能性があり、対策を講じることが非常に困難である。本研究では、流域単位でどのような環境対策を講じる必要があるかを検討するため流木等ゴミの流化によって生態系や景観の損なわれている北上川を対象として、ヨシ原保全、シジミの保護、流木等のゴミの量、レクリエーション(遊歩道・休憩施設・親水設備)の整備を属性とした選択型実験を行い、流域住民の選好の多様性を考慮した潜在クラスモデルによって分析を行った。分析の結果、上流と下流の環境への意識差と、費用負担への意識差とが確認された。環境への意識差として、自然環境に関しては外部者と考えられる上流域の方が価値を高く評価し、レクリエーションに関しては、直接的受益者と考えられる下流域の住民が複数のレクリエーションの併設を望んでいることが示された。費用負担の意識差として、自然環境・レクリエーションとも全流域で負担することが好まれる結果となった。以上によって、選好の多様性を考慮した流域単位での河川管理の重要性を示した。

 




   
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