自己点検・評価
  平成22年度
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① 概況

発足8年目を迎えた今年度、5名の専任教員のうち1名が他大学へ転出し、この3年間センターを指導、牽引してきた前センター長も定年を迎えるというように、センターにとっては厳しい船出となったが、幸い前センター長は特任教授として文部科学省特別教育研究推進プロジェクト「湖沼流域ガバナンス」の最終年度を引き続き担えることとなり、また転出者の後任にも若くて優秀な環境社会学者を迎えることができそうであり、センターのいっそうの発展のためにセンター員一同益々張り切って活動しているところである。

そうしたなか、今年度の最大の成果は、②に記すように、最終年度を迎えた上記プロジェクトの締め括りのための活動である。同プロジェクトが掲げる「統合的湖沼流域管理」というコンセプトは、リオ+20に向けて社会的関心を集め、中村教授は最近では種々のフォーラムやシンポジウムにひっぱりだこの状態である。さらに、環境省の環境研究総合推進費によるプロジェクト研究の一部を受託して、水田地帯の生物多様性再生に向けた農業経済政策を研究したり、同じく同推進費によるプロジェクト研究の一部を受託して、中国をも対象フィールドに市場的手法を取り入れた水質浄化政策の実験経済学的研究を遂行したり、あるいは真にサステイナブルな社会を築く主体を育てるための環境教育カリキュラムの開発に力を注ぎ、講演活動にも積極的に取り組むなど、3人の専任スタッフはそれぞれに自らの専門分野においても活躍してきた。

以下、項をあらため、22 年度の年度計画において掲げた3つの主要目標に即して、センターの活動状況を詳しく報告する。

②22 年度の進捗状況と点検・評価
 

(ア) 国内外の先進的な研究機関や研究者との共同研究の推進
 標記目標を達成するために、第1期中期目標における成果を踏まえて共同研究のあり方についての基本方針を検討することを今年度の課題としてきたが、上記のように、第1期中期計画期間から引き続く文部科学省特別教育研究推進プロジェクト「湖沼流域ガバナンス」が最終年を迎え、その締め括りの活動に力を注いだ。具体的には11月上旬、ポトマック川流域州際委員会部門長のC.シュルツ博士をはじめ、アメリカ、ロシア、ケニア、メキシコ、さらにインド、フィリピン、マレーシア、ネパール、タイから12 名の研究者を招き、日本在住の米国、ケニア、中国の研究者に本学を含む多様な機関に所属する日本の研究者が加わって、1週間にわたる密度の濃い専門家間の討議を繰り広げ、最後に総括的シンポジウムを開催した。本プロジェクトは、とりわけ発展途上国において、政府による上からの統治を超えて、住民を含む多様な関係者が力を合わせて(ガバメントからガバナンスへ)湖沼流域の環境保全・改善に取り組むための基本方式を探ろうとしたもので、上記した諸国での現場の経験を報告しあうとともに、この分野で経験を積んだ専門家も加わって意見を交わし、共同研究を推進してきた。シンポジウムに来聴くださった専門家からも高い評価をいただき、中日新聞にもかなりの紙幅を割いて紹介されるなど、大きな成功をおさめることができたと思われる。したがって、基本的には、こうした成果を踏襲してさらに共同研究を推進していくことが今後の課題と思われるが、今回の専門家会議、シンポジウムの反省点をも洗い出しながら、めざすべき共同研究のあり方について検討を深めたいと考える。

(イ) 学内横断的な研究の組織・支援
 上記プロジェクトにおいては、環境総合研究センターの専任スタッフのみならず、教育学部から3名の教員に、そして経済学部から2名の教員に共同研究者として参加いただくなど、学内横断的な研究の組織にも留意してきた。
 また、環境総合研究センターでは毎年広く学内にプロジェクト研究を募集し、5~7件程度のプロジェクト研究に資金を供与して、共同研究を支援し、その成果をセンター紀要『滋賀大学環境総合研究センター研究年報』に寄稿していただいた。上記の湖沼流域研究ガバナンスプロジェクトへの両学部スタッフによる協力にも、こうしたプロジェクト研究の延長線上に位置づけられるものがある。その点では、本センターは、学内横断的な研究の組織・支援に一定の成果をおさめてきたかと思われる。
 しかし、「統合的」な湖沼流域ガバナンスをめざし、多様な視座からアプローチして湖沼流域環境の保全・改善に取り組むという観点からすれば、本学の多彩な人的資源をよりいっそう活用しうる余地はあったかと思われる。近年、益々職務が増大しているなかで、両学部のスタッフもセンター活動にまで協力する余裕がなくなっているのが実状かとは思うが、後継プロジェクトにおいては、スポット的にでも協力願えるように、センターの側からも働きかけを強めていきたい。
 さらに、プロジェクト研究のあり方について再検討に着手した。共同研究とはいっても各学部内での共同研究が大半という実状があり、センターが主体的に諸プロジェクトを架橋して学部横断的な共同研究を誘導・支援しながら、決して大きくはない資金を効果的に配分する方法はないかなど、検討を深めていきたい。

(ウ) 地域ニーズへの対応
 例年と同じく、淡海生涯カレッジの開設に協力するなど、地域社会の知的・文化的拠点として貢献することに努めてきた。また、概況にも記したように、必ずしも滋賀県内ばかりということではないが、地域からの講演への要請などにも積極的に応えてきた。今後も、このように地域住民の声に直接に接することのできる機会を生かして、地域のニーズがどのようなところにあるか、それに応えるためにどのような取り組みが効果的であるかについて検討を深めていきたい。

③ 23年度以降に向けての取組
 

(ア) 既述のように、第1期中期目標期間中に開始された湖沼流域ガバナンス研究は、有力な国際的研究ネットワークの構築に成功することができた。23 年度以降、科学研究費補助金をはじめ様々な助成金等にアプローチしてなんとか外部資金を確保しつつ、築いてきたネットワークをいっそう発展させる努力を積み重ねてゆく所存である。

(イ) 既述のように、プロジェクト研究の募集方法を変更するなど、センターが主体となって学内横断的な共同研究の組織・支援をより効果的に推進する方法がないか検討を深め、具体的取り組みに着手してゆく予定である。

(ウ)淡海生涯カレッジなど、地域住民の方や行政関係者の声を直接にうかがう機会を生かしながら、地域のニーズがどのようなところにあるか、それに応えるためにどのような取り組みが効果的であるかについて検討を深め、成案を得たものから具体化していきたい。

   
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